自然との共生(3) ─ 魚を食べない人々 ─
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マレーシアの内陸部にオラン・アスリという先住民が住んでいる。スマトラ島沖地震の1カ月後、彼らの村を訪問した。地震や津波の被害はなかったが「海の魚を食べない」という影響が出ていた。
マレーシアでは、日本と違って、毎日のように、凄惨でショッキングな映像がテレビや新聞で報道されていた。海岸に打ち上げられた遺体やブルドーザーで整理されていく遺体など。
オラン・アスリの人びとは、魚に食いちぎられた夥しい数の遺体の映像を見たあと、魚を食べなくなった。「人肉を食べた魚は穢れている」と彼らは言う。
こうした「魚を食べない」現象が、メディアの影響によるものなのか、それとも日本人とは違う彼らの「不浄観」によるものなのか。調べてみる必要がありそうだ。
国立民族学博物館 信田敏宏
マレーシアでは、日本と違って、毎日のように、凄惨でショッキングな映像がテレビや新聞で報道されていた。海岸に打ち上げられた遺体やブルドーザーで整理されていく遺体など。
オラン・アスリの人びとは、魚に食いちぎられた夥しい数の遺体の映像を見たあと、魚を食べなくなった。「人肉を食べた魚は穢れている」と彼らは言う。
こうした「魚を食べない」現象が、メディアの影響によるものなのか、それとも日本人とは違う彼らの「不浄観」によるものなのか。調べてみる必要がありそうだ。
国立民族学博物館 信田敏宏
毎日新聞夕刊(2005年4月27日)に掲載