海と人(4) ─グローバル化─
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「海から来たものは海へ返す」。漁に出かけてゆくときのフィジーの村人の、背中のカゴには魚の骨や貝殻。それが採れたての海産物に代わってもどってくるのが昔の暮らしだった。時代が変わった今、島へはキャンディーや缶詰、油などが海の向こうから入ってくる。そして食べられない部分がカゴに入れられて海へ戻ってゆく。波間に漂うビニールの包み紙、空き缶、プラスチック容器。
どんどん増えてゆく新しいもの、珍しいもの、便利なもの。その後のことは誰も何も言わず、考えもせず。
公害の記憶、ごみ政策。失敗から得た知識を先回りして世界の島々と分かち合う、ただそれだけのことが難しい。日本からは見えない南の海の風景。島には届かない、本当に届いてほしいもの。
国立民族学博物館 菊澤 律子
どんどん増えてゆく新しいもの、珍しいもの、便利なもの。その後のことは誰も何も言わず、考えもせず。
公害の記憶、ごみ政策。失敗から得た知識を先回りして世界の島々と分かち合う、ただそれだけのことが難しい。日本からは見えない南の海の風景。島には届かない、本当に届いてほしいもの。
国立民族学博物館 菊澤 律子
毎日新聞夕刊(2007年6月27日)に掲載