生きものをめぐって(4) ─ イヌ ─
昔の日本では犬は村で飼っていたという話を、民俗学者の宮本常一さんから聞いて驚いた覚えがある。柳田国男も「村の犬」が薬師堂の床下で子を産む臭(にお)いの思い出を、懐かしげに書き残している。やがて屋敷の隅に犬小屋を作って飼うようになると、それが「野良犬」になる。近ごろ集合住宅が増えたためか、飼う犬の好みもかわった。見かけるのは小型犬が多い。室内で飼い主と衣食を共にしているのだろう。村の犬から部屋に引きこもる室内犬へ。人間社会の様相をそのまま映しだしている。
10年ほど前、ソウルに行った時、街で犬を見かけないので、韓国の人にどうしてか聞いたことがある。「こちらの犬は小さくなっているんですよ。あまり吠えたりすると食べられてしまいますからね」。
今はどうなっているのだろう。
国立民族学博物館 野村雅一
10年ほど前、ソウルに行った時、街で犬を見かけないので、韓国の人にどうしてか聞いたことがある。「こちらの犬は小さくなっているんですよ。あまり吠えたりすると食べられてしまいますからね」。
今はどうなっているのだろう。
国立民族学博物館 野村雅一
毎日新聞夕刊(2005年6月29日)に掲載