グローバルとローカル(7) ─ 動物保護 ─
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今年4月、コククジラが東京湾に現れて話題になった。クジラはもっとも大きなほ乳類であり、今その保護がもっとも政治的に注目されている動物でもある。
私は毎夏、ベーリング海峡のロシア側の村で、国際捕鯨委員会が「生存捕鯨」として認める先住民のクジラ猟を調べている。人口は1000人強なのに、一夏に50頭近いコククジラがとれる。食べきれない肉は、犬や飼育キツネとわかちあう。それでも肉は余る。人々は肉を売りたいが、世界の世論や自然保護団体はそれを禁止する。現実とのズレを感じざるをえない。
それでは「商業捕鯨」をしながらクジラの保護はできないものなのか。ヤマハのボートに乗って猟に出かけるハンターは「肉の市場の中心にいるのは日本なのに」と口癖にしているのだが。
国立民族学博物館 池谷和信
私は毎夏、ベーリング海峡のロシア側の村で、国際捕鯨委員会が「生存捕鯨」として認める先住民のクジラ猟を調べている。人口は1000人強なのに、一夏に50頭近いコククジラがとれる。食べきれない肉は、犬や飼育キツネとわかちあう。それでも肉は余る。人々は肉を売りたいが、世界の世論や自然保護団体はそれを禁止する。現実とのズレを感じざるをえない。
それでは「商業捕鯨」をしながらクジラの保護はできないものなのか。ヤマハのボートに乗って猟に出かけるハンターは「肉の市場の中心にいるのは日本なのに」と口癖にしているのだが。
国立民族学博物館 池谷和信
毎日新聞夕刊(2005年11月16日)に掲載