伝統芸能最前線(2) ─ ロシア民謡 ─
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日本人にとってロシア民謡はなじみ深いが、すぐ思い浮かぶのは、カチューシャ、ともしび、ステンカ・ラージンといったかつて「歌声喫茶」で響いていた曲ではないだろうか。しかし、現実のロシアでは観光地以外ではそのような曲はほとんど流れていない。
実は我々がロシア民謡と思っている曲の大半はロシア革命前後に創作された「革命歌」であり、旧ソ連が社会主義的ロシア文化を海外に宣伝するために広めたものである。だから、ロシア人にとっては気恥ずかしいもので、レストランやバーで生演奏をしてくれるバンドにロシア民謡をリクエストすると、とんでもない編曲で聴かされることになる。一度ハワイアン調のステンカ・ラージンを聴いたことがあるが、それはロシア人一流の「照れかくし」なのだ。
国立民族学博物館 佐々木史郎
実は我々がロシア民謡と思っている曲の大半はロシア革命前後に創作された「革命歌」であり、旧ソ連が社会主義的ロシア文化を海外に宣伝するために広めたものである。だから、ロシア人にとっては気恥ずかしいもので、レストランやバーで生演奏をしてくれるバンドにロシア民謡をリクエストすると、とんでもない編曲で聴かされることになる。一度ハワイアン調のステンカ・ラージンを聴いたことがあるが、それはロシア人一流の「照れかくし」なのだ。
国立民族学博物館 佐々木史郎
毎日新聞夕刊(2006年2月8日)に掲載