いきいき五感力(2) ─ 味覚 ─
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「レモングラス茶にコンデンスミルク、これがあうんですよ」。マダガスカルで久しぶりに会った海外協力隊員の第一声。実は偶然、私も同じ発見をしたところだった。
「外国人はお茶の習慣があるから」。村のおばあちゃんが庭から葉を摘んできて湯を注ぎ、黙って貴重品のミルクの缶を指す。それを礼儀だけでコップにたらした私は、次にお茶をすすって瞠目(どうもく)した。おいしい! 毎朝のおばあちゃんの好意を断れなくなっていた。
でも、帰国して「貴重品」のレモングラスを買い求め、ミルクを入れたお茶は、期待したほどではない。素材の新鮮さもさることながら、それぞれの土地の食事と生活のにおい。行く先々でそれにあった味をおいしいと判断できる味覚は、実は、もっとも柔軟な感覚なのかも知れない。
国立民族学博物館 菊澤律子
「外国人はお茶の習慣があるから」。村のおばあちゃんが庭から葉を摘んできて湯を注ぎ、黙って貴重品のミルクの缶を指す。それを礼儀だけでコップにたらした私は、次にお茶をすすって瞠目(どうもく)した。おいしい! 毎朝のおばあちゃんの好意を断れなくなっていた。
でも、帰国して「貴重品」のレモングラスを買い求め、ミルクを入れたお茶は、期待したほどではない。素材の新鮮さもさることながら、それぞれの土地の食事と生活のにおい。行く先々でそれにあった味をおいしいと判断できる味覚は、実は、もっとも柔軟な感覚なのかも知れない。
国立民族学博物館 菊澤律子
毎日新聞夕刊(2006年4月12日)に掲載