おしゃれにきめる(8) ─ 変わり塗り ─
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日本を代表する伝統工芸の漆芸技法に変わり塗りがある。漆の性質を応用して、色彩の変化をつけたり、漆塗りの表面に凹凸をつけたり、鮫(さめ)肌など他の材料を併用するなど、多様な表現ができる装飾技法だ。主に武士のステータスである刀の鞘(さや)に塗られていたことから鞘塗ともいわれ、武士のおしゃれをきめていた。
蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)、沈金など、数ある漆の装飾技術のなかでも、多様な表現で目を楽しませてくれる変わり塗りは独特の魅力をもっている。泰平の世となった江戸時代、武士の魂であった刀は次第にアクセサリー的要素をもつようになった。変わり塗りを施した鞘に刀をおさめ、腰に差してさっそうと歩く武士の姿を想像すると、日ごろは顔を出さない自分のおしゃれ心が刺激される。
国立民族学博物館 日高真吾
蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)、沈金など、数ある漆の装飾技術のなかでも、多様な表現で目を楽しませてくれる変わり塗りは独特の魅力をもっている。泰平の世となった江戸時代、武士の魂であった刀は次第にアクセサリー的要素をもつようになった。変わり塗りを施した鞘に刀をおさめ、腰に差してさっそうと歩く武士の姿を想像すると、日ごろは顔を出さない自分のおしゃれ心が刺激される。
国立民族学博物館 日高真吾
毎日新聞夕刊(2006年9月20日)に掲載