国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

もてなしのかたち(6) ─ 中国の宴会 ─

異文化を学ぶ


中国の宴会というと、堅苦しい宴席で食べきれないほどの料理や酒を強いられるというイメージがあるかもしれない。確かに公的な宴会では伝統的な作法がまだ残る。乾杯は文字通り飲み干す必要があり、特に北方でアルコール度数が60度近い蒸留酒を出される場合は大変だ。宴会の最初と最後、主人の歓迎や答礼のあいさつの際、さらに主人側への献杯と返杯など、最低10杯くらいは覚悟せねばならない。宴会は一種の政治の場でもあり、酒を飲み干すことで主人のメンツを立て、主客の良好な関係が成立する。

しかし、最近では、合理的な考え方が浸透しつつある。乾杯の無理強いが少なくなり、アルコール度数の低いワインが流行、余った料理をテイクアウトにするなど変化しつつある。

国立民族学博物館 塚田誠之
毎日新聞夕刊(2007年1月17日)に掲載