旅・いろいろ地球人
涼を飲む
- (5)マッコリ 2009年9月2日刊行
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朝倉敏夫(文化資源研究センター教授)
全州のマッコリ村で=千里文化財団撮影マッコリは韓国の伝統民俗酒の一つで濁酒という。農作業の合間に飲むことから農酒ともいわれる。田植えや稲刈りの共同作業の時、間食の代わりに、どんぶりほどの容器に注いでゴクゴクと飲み、キムチをつまむ。伝統的な農村社会におけるファストフードであった。
「漢江の奇跡」といわれた韓国の高度経済成長は、何事もパリパリ(急げ急げ)とばかりに急速度で進められた。酒を飲むのも焼酎をストレートでグイグイとあおり、一気に酔い、熱く語る飲酒文化が作られた。その韓国で、近年、マッコリがスローフードとして再認識されてきたようだ。
韓国の古都、全州に「マッコリ村」という観光資源ができた。ヤカン一杯のマッコリを頼むと、10~12種類のつまみがついてくる。マッコリを追加すれば、また違うつまみが出てくる。ここの名物に、既成のマッコリ瓶を冷蔵庫に4日ほど保管し、糟(かす)を沈殿させて上澄みだけを注いだ「マルグンスル(澄んだ酒)」がある。
マッコリの楽しみは、なんと言っても、ワイワイ、ガヤガヤ、皆で分かち合って飲むことにある。ただし、あまり熱くならずに、ゆったりと飲みたい。シリーズの他のコラムを読む
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