フランスの温かい飲物といえば、朝のカフェオレが知られている。こちらが元気になる飲物とすれば、くつろぎたいとき、寝る前のひとときに飲むのがティザーヌ、フランス版ハーブティーである。
ヴェルヴェーヌ(クマツヅラの葉)、カモミール(カミツレの花)、ティユール(シナノキの花)などがフランスらしいティザーヌといえようか。植物の種類により、消化剤、鎮痛剤、解熱剤としての役割、発汗、よく眠りにつけるなどの効用が期待できる。植物を数種、組み合わせることもある。
ティザーヌの作り方には、水から煮出す方法もあるが、多くはアンフュジョンとよばれる方法でつくられる。まず、器のなかに煎じる植物(花などの乾燥物)を入れ、沸騰した湯を注ぐ。蓋(ふた)をして5分から10分煎じる。蓋と茶漉し付きのティザーヌ用のカップを使うと、1人分でも気軽に楽しむことができる。
より簡単にという向きに、パリのスーパーには、ティーバックになった各種のティザーヌが並んでいる。日本でも輸入食料品の店で入手できるので、この冬はティザーヌを飲みながらゆっくり過ごしてみてはいかがだろうか。甘さが欲しいときは、ハチミツを加えるのがお勧め。
シリーズの他のコラムを読む
-
(1)ヒマラヤの温泉 南真木人
-
(2)ティザーヌを飲む 園田直子
-
(3)韓国の銭湯 朝倉敏夫
-
(4)午睡の楽しみ 丹羽典生
-
(5)漢族葬儀の楽隊 韓敏
-
(6)貧困劇の楽しみ方 関雄二
-
(7)遊具でストレス発散 山中由里子
-
(8)ハンモックにゆられて 齋藤晃
-
(9)ジャワ島の音楽家 福岡正太