国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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贈り物

(7)お守りは、もらうもの  2013年2月21日刊行
宇田川妙子(国立民族学博物館准教授)

私がもらったお守りの一部。コルネット(中央)は贈り主のイニシャル入り=著者撮影

イタリアで暮らしていると、友人や知人たちからお守りをもらうことがしばしばある。

イタリアはカトリックの国ではあるが、迷信などを信じる人が多い。魔を払い、幸運を呼ぶとされるお守りのたぐいも、かなり普及している。

そのなかには写真右のキリスト像のペンダントなどもあるが、最も知られているのは、写真中央の角の形をした「コルネット(角)」だろう。たいていの人は、一つか二つは持っている。

角(牛の角)は、魔を撃退するシンボルである。通常は赤いサンゴ製で、赤は敵の血の色、または幸せを呼ぶ色だという。ただし私がもらったものは、やはり魔除(よ)けの意味をもつ銀製であり、その代わり、付け根の紐(ひも)が赤い色だった。

お守りにはほかにも色々な形があるが、総じて手作りのものがよいとされる。そしてもう一つ、贈り物であるべきだともいう。贈り物としてのお守りには贈り主の思いも込められているため、効果が高いということだろう。

それゆえ、誕生などの特別な機会に高価なお守りを贈ったり譲ったりするだけでなく、旅先などでちょっとしたお守りを購入して親しい人に贈ることも少なくない。私の元にも、そうしたお守りの一部が集まってきている。

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