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組織
- (1)日系宗教の海外伝道 2014年9月25日刊行
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広瀬浩二郎(国立民族学博物館准教授)
米ロサンゼルスにある天理教アメリカ伝道庁=2003年6月、筆者撮影僕は昨年8月から8か月間、アメリカ・シカゴに滞在し、天理教の海外伝道に関する調査を行なった。シカゴ地域には三つの天理教教会が存在するが、その活動はあまり活発とは言い難い。シカゴの天理教信者は全体で30名ほどで、大半は結婚により渡米した日本人女性である。米国人への布教という面で、シカゴの天理教は成功しているとはいえないが、純粋な信仰を保持する高齢の女性信者が目立つのが大きな特徴だろう。
純粋な信仰とは、教祖・中山みきとの一対一の「縁」の自覚と定義できる。日本国内の天理教の場合、教祖(親)と個々の信者(子)の間で、心的つながりを意識するのが難しい現状がある。しかし、現実的に布教が困難なシカゴでは、逆に教祖存命当時のような個人レベルの純粋な「縁」を育みやすい環境があるともいえよう。
教祖は神なのか、人間なのか。中山みきの神格化に飽き足りない複数の関係者が、独自の教祖伝を刊行している。それらは、シカゴの信者たちが僕に語ってくれた人間・中山みきのイメージと重なる部分が多い。シカゴでの調査を通じて、海外伝道の成否は単純に「量」だけで判断できないことを再認識した。教団組織の「質」を維持・継承するのは、「縁」に裏打ちされた個々の信者の人間力なのである。
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