国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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踊る

(7)フィリピンの曲?  2015年6月25日刊行
永田貴聖(国立民族学博物館機関研究員)

ダンスを披露するフィリピン人グループ=京都市で2009年12月、筆者撮影

移民送出国フィリピンでは国民の約1割に相当する約1000万人が海外に暮らしている。日本にも約20万人が定住している。その多くがカトリックを信仰し、海外移住者たちは同胞たちとの交流のため、教会などを拠点に自助グループを結成している。

クリスマスになると、日本人の家族や友人たちが招待され、パーティーを開催する。フィリピンの人々は芸達者である。集まりでは、伝統芸能、歌謡曲、そして、最新ヒット曲でのダンスなどが披露される。ダンスの曲は、以前なら、フィリピンか日本の曲、世界的にヒットした欧米の曲だった。

ところが数年前、京都にあるグループを訪ねると大きな変化があった。なんとその年の韓国の流行曲で、女性グループ・ワンダーガールズが歌う「ノーバディー」を披露したのだ。聞くところによるとフィリピンでもヒットしており、1960年代を意識した振り付けが好評だという。そして、その翌年は、予想通り、世界的にヒットした韓国のダンス曲、カンナム・スタイルだった。しかも、振り付けは本物顔負けにアレンジされていた。

日本で韓国のポップスにあわせてフィリピン人が楽しむ。海外を移動し、外のものを自己流に変容させるフィリピン人の生き方を見たと満足した瞬間だった。

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