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ミュージアム
- (6)博物館建設競争 2015年8月13日刊行
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吉田憲司(国立民族学博物館教授)
1980年から始まったンゴニ人の祭り、ンチュワラ。祭りの会場近くで、博物館の整備が進む=1999年、筆者撮影今、世界各地の民族や地域コミュニティーを単位とした博物館の建設競争が進んでいる。なかでも、アフリカのザンビアでの動きは、注目に値する。
ザンビアでは、1980年代、主要民族が、「伝統を始めよう」をスローガンに、競って民族単位の新たな祭りを生み出していった。もともとザンビアには、民族をあげておこなうような祭はほとんどみられなかった。それが、現在では、73あるというザンビアの民族のほぼすべての集団が独自の祭りをもつようになっている。
こうした祭りの創生は、90年代に入ってひと段落する。すると、今度は、各民族がそれぞれの文化の展示を目的とした博物館の建設で競い合うようになる。あと、数年もすれば、ザンビアのすべての民族が独自の博物館をもつようになるかもしれない。
こうした民族単位の博物館が想定している観客は、外部の観光客というよりも、地域の住民である。各集団は、博物館で住民たちのあいだにそれぞれの民族の文化に対する誇りを醸成し、さらにはそれらの文化の継承をはかっていこうとしている。とはいえ、大多数の住民にとって、博物館という装置は決してなじみ深い存在ではない。文字通り手探りで、博物館というものの可能性を探る営みが続けられている。
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