国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

旅・いろいろ地球人

世界の都市化

(1)アフリカの通勤列車  2015年11月5日刊行
池谷和信(国立民族学博物館教授)

キンシャサ中心部の朝の風景=2011年、筆者撮影

アフリカというと日本では広大な野生動物などのイメージが強いが、人口の都市集中は近年の新しい傾向だ。ナイジェリアのラゴスが1600万人、コンゴ民主共和国の首都キンシャサは800万人、という大都市が生まれている。しかし、都市に仕事の機会が多いというわけではなさそうだ。理由はわからないが、人々は都市に集まってきている。

4年前に、私がみたキンシャサの朝の通勤ラッシュはすさまじいものがあった。街の中心部で、プラットホームがあるわけではないが、列車が止まると、そこから多くの人がワーと降りてくる。若い男性が多かったが、彼らは歩いて仕事場に向かっているようにみえる。これが、まさに郊外からの通勤の風景なのだ。

私はこの列車にはまだ乗ったことがない。遠くから眺めているのが精いっぱいである。はたして、乗客は切符を持っているのだろうか。列車の天井に乗ることは危なくないのであろうか。 それでも仕事のない人は、街に職を探しに来ているらしい。

キンシャサの人口は、30年前には200万人であったが、近年になって急激に増加しており、都市域はますます拡大している。その速さのゆえに、当分の間、都市のインフラが追いつくことはなさそうだ。

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