旅・いろいろ地球人
世界の都市化
- (3)エキスポシティの誕生 2015年11月19日刊行
-
池谷和信(国立民族学博物館教授)
エキスポシテイ入り口付近から太陽の塔を望む=16日きょうは、大阪・万博記念公園内に大型複合施設「エキスポシティ」が生まれた記念すべき日だ。そこには、300を越える店舗に加えて、新感覚の水族館「ニフレル」など、大人から子供まで楽しめる体験型の施設が多い。新たな都市空間の誕生とみてよいだろう。
思えば、45年前に大阪万博が開催された時には、太陽の塔が誕生して日本中から多くの人を集めた。その後、万博公園には国立民族学博物館や美術館なども生まれて、新たな文化センターになった。
しかし近年、東京への一極集中が加速化して大阪の街も元気がなくなったともいわれる。私は、エキスポシティの誕生を新たな都市化のシンボルと考えている。現在、世界では経済と文化とのバランスをとおして都市の暮らしの質の向上が求められている。ここには、訪問者がじかに体験することから本当の豊かさを感じさせてくれる可能性がある。
東京の上野公園には、年間1000万人以上の利用者があるが、商業施設はない。一方で、万博公園周辺には、これまでの日本にはない文化・経済の新たな複合体が生まれたことになる。今後、大阪の万博公園から日本へ、そして世界へと、新たな都市化のモデルを発信できるのではないだろうか。
シリーズの他のコラムを読む
- (1)アフリカの通勤列車
- (2)中国の夜行列車の風景
- (3)エキスポシティの誕生
- (4)アマゾンの港町の風景