旅・いろいろ地球人
南米アマゾンの旅
- (2)草原を横断する 2018年11月17日刊行
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齋藤晃(国立民族学博物館教授)
牛と牧童=南米ボリビア・ベニ県モホス郡1995年12月、筆者撮影
南米ボリビア・アマゾンの中央には、モホス平原と呼ばれるサバンナ(熱帯草原)が広がっている。日本の面積の半分に相当するこの広大な原っぱは、ほとんど起伏がなく、雨期には6割以上が水没する。それゆえ雨期には、平原をカヌーで横断することが可能になる。ただし、いたるところに背の高い草が茂っているので、船外機付きの船ならエンジンを止め、草をかき分けながらゆっくり進まなければならない。
乾期になると、水がひいた平原で牛の放牧がおこなわれる。牧童たちは馬を駆って牛の群れを追い立てるが、この馬が乾期のあいだ重要な移動手段となる。筆者の経験では、馬に乗るのはオールでカヌーを漕ぐより容易である。後者は熟練が必要だが、前者については、手綱を進行方向に向けるだけで馬が勝手に進んでくれる。
もっとも、馬の旅は快適とはいいがたい。鞍を背に乗せ、その上に毛布を敷き詰めても、長時間乗馬していると、どうしてもお尻が痛くなる。また、たとえ乾期といえども、日中の草原はかなり蒸し暑い。地元の人はすずしい夜間に旅することを好むが、注意が必要である。夜目がきく馬は木にぶつかることはないが、乗り手が木の枝にぶつからないような配慮はしてくれない。
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