国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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韓国に特有のこと

(1)元日はみんなが歳をとる日  2020年1月4日刊行

太田心平(国立民族学博物館准教授)


韓国のカレンダー。陰暦の日付も、隅(画面左下)に小さく併記されている=筆者撮影

韓国に特有のことを探すのは至難の技だ。日本と違う物事を発見しても、それはシベリアや中国や日本に発したものの、当地には残っていないことだったり、時には、世界で日本社会があまりに独自の路線を歩んでいるがため、韓国が特別に見えるだけだったりということも。

初回は、正月らしく年齢と誕生日について。なぜ正月らしいかと言えば、韓国では今でも「数え年」で年齢を言い表すからだ。つまり、何月何日生まれの人でも、元日は年齢が一つ増える日なのである。

数え年、韓国で言う「韓国年齢」のシステムを略説しよう。赤ん坊は生まれながらに、0歳でなく1歳である。そして、正月を迎えるたびに歳を取る。だから、人々の自称する年齢は、満年齢、韓国で言う「西洋年齢」より1~2歳多くなる。その年の誕生日がまだ来ていないなら満年齢に2歳、来た後なら1歳を加えた年齢だ。そして韓国では、満年齢の回答につまるという人が多い。

現代では、そんな韓国でも数え年の基準が、旧暦ではなく新暦の元日になったが、韓国では誕生日を旧暦で登録することが可能でもある。誕生日が同じ日でも、たとえば新暦の1月4日は、旧暦の1月4日と同じでない。私は今年も陰暦のカレンダーを入手し、親友たちの誕生日を逃さないため四苦八苦する。

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