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海洋考古学の世界
- (4)ポンペイ島の謎を追う 2020年10月24日刊行
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小野林太郎(国立民族学博物館准教授)
ナンマトル遺跡最大の人工島「ナントワス」
=ポンペイ島で2014年、片岡修氏撮影Ⓒ 国立民族学博物館DiPLAS事業
ポンペイ島は東ミクロネシアで最大面積を誇る火山島だ。この島の南東岸の海域に、2016年に世界遺産に登録されたナンマトル遺跡がある。遺跡は海上に浮かぶ約100の人工島からなる。いずれもサンゴ石と玄武岩を利用した巨石建造物で、かつてこの島に生まれた二つの王朝の中心地だったとの伝説が残る。
その最盛期は13~15世紀ごろ。数ある人口島のうち、最大級となるナントワス島には歴代の王たちが葬られたとされる石室があり、島は柱状玄武岩による二重の壁を持つ。その外周壁の高さは9メートルを誇り、屹立する姿はまさに荘厳である。しかし謎も多く、ナンマトルの建造が始まった時期はまだ特定できていない。
同じく議論が続いているのが、ポンペイ島への人類の最初の移住期やその起源地について。そこでこれらの謎に迫るため、昨年からポンペイ島に隣接するレンゲル島にて発掘を開始した。レンゲル島はかつて日本軍の基地としても利用された島で、戦跡も多い。私たちの発掘区域も旧兵舎の隣に位置する沿岸域で、目前はリーフ(礁)である。その深度約1メートルの白砂層からは多くの土器片や貝製品が出土した。年代測定の結果、現時点では最古の2000年前ごろまで遡りそうだ。今後の調査で、ポンペイ島をめぐる人類史や巨石文化の謎に迫っていきたい。
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