国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

フィールドワーク――中国という現場、人類学という実践  2017年6月10日刊行
西澤治彦、河合洋尚 編 風響社

出版物情報

主題・内容

1980年代以降に中国大陸で現地調査が可能になってから、人類学者がどのように試行錯誤してフィールドワークをおこなってきたのか、年齢・性別・関心の異なる執筆者たちが実体験に基づいて論じた書籍。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

フィールドワークに関する書籍はこれまで数多く出版されてきましたが、中国の現地調査を紹介する本は日本では全くありませんでした。これから中国でフィールドワークしようと考えている研究者だけでなく、中国で長期滞在をされる方々、中国の社会文化に関心のある方々に、是非一読していただきたい一冊です。

目次

はじめに 西澤治彦・河合洋尚
 問題提起 中国人類学のフィールドワークを巡る諸問題  西澤治彦
●第一部 フィールドの現場から
 ☆巻頭エッセー 私のフィールドワークを振り返って  末成道男
 ☆インタビュー 末成先生を囲んで  末成道男/瀬川昌久・桐本東太・西澤治彦
 「反復型」調査の有効性
   ――広東省珠江デルタでのフィールドワークから  長沼さやか
 ハニ族の村で暮らす
   ――現地適応型フィールドワークの技法  阿部朋恒
 「宗教」をはみ出す
   ――雲南におけるムスリムのフィールドワーク  奈良雅史
 チベット族とボン教のフィールドワーク
   ――縁をたぐり寄せ、できることをすること  小西賢吾
 同僚として、調査者として  155
   ――広州の会社でフィールドワークした「私の経験」  田中孝枝
 フィールドワークにおける協働関係
   ――陝北農村に「日本の女」として暮らす  丹羽朋子
 貴州省で山歌と出会う
   ――出来事指向のフィールドワーク  梶丸 岳
 座談会 現代中国におけるフィールドワークの実践
   稲澤努、藤野陽平、横田浩一、小林宏至、兼城糸絵、川瀬由高、河合洋尚
●第二部 フィールドワークと民族誌
 ☆巻頭エッセー 現地調査で学んだこと──エスニック・グループという視点  田仲一成
 ☆インタビュー 田仲先生を囲んで  田仲一成/瀬川昌久・西澤治彦
 中国社会のフィールドワークの可能性
   ――華北地域における共同調査の経験から  佐々木 衞
 「調査」と「フィールドワーク」を巡る考察
   ――陝西の農村および都市での経験から  田村和彦
 住み込みと継続的なフィールドワーク
   ――広東省珠江デルタにおける経験から  川口幸大
 都市調査とマルチサイト民族誌
   ――広東省を中心として  河合洋尚
 自社会人類学のフィールドワーク論
   ──中国の経験から  劉 正愛
 歴史学者の行うフィールドワーク
   ――江南地域社会史調査の場合  佐藤仁史
 フィールドと文献研究の狭間で
   ――江蘇省における調査経験から  西澤治彦
●総合討論会 中国におけるフィールドワークと人類学の可能性
   瀬川昌久・聶莉莉・菊池秀明・河合洋尚・西澤治彦
あとがき  西澤治彦・河合洋尚
索引