みんぱく映画会
-
2019年11月9日(土)
ワンダーストラック -
チラシダウンロード[PDF:2.0MB]
国立民族学博物館「みんぱく映画会・みんぱくワールドシネマ」は研究者による解説付きの映画上映会です。11年目となった今期も、<人類の未来>をキーワードに映画上映を展開しています。今回は、異なった時代を生きる、家族と音を失った少年と少女が、数々の困難を乗り越えてニューヨークの自然史博物館で<ワンダーストラック/驚きと幸せの一撃>に出会い、運命に導かれていく姿を描いたアメリカ映画を上映します。美しい映像世界の中で、聴覚障害者の視点をとおして、博物館の始まりについて知りたいと思います。
- 日 時:2019年11月9日(土)
13:30~16:00(開場13:00) - 場 所:国立民族学博物館 セミナー室
- 定 員:200名
※参加券を11:00から本館1階案内所前にて配布します。事前申込は不要です。
※メイン会場が満席の場合は中継会場をご案内します。
※特別展をご覧になる方は、特別展示観覧券(一般880円)が必要です。 - 要展示観覧券(一般 580円)
- 主 催:国立民族学博物館
- 協 力:国立民族学博物館 日本財団助成手話言語学研究部門(SiLLR)
特別展「驚異と怪異――想像界の生きものたち」関連イベント
● みんぱくワールドシネマ 映像から考える<人類の未来>
第46回上映会- ワンダーストラック Wonderstruck
- 2017年/アメリカ/117分/英語/日本語字幕付き
- 【開催日】2019年11月9日(土)13:30~16:0 0(開場13:00)
- 【監督】トッド・ヘインズ
- 【出演】ジュリアン・ムーア ミシェル・ウィリアムズ オークス・フェグリー
- 【司会・解説】山中由里子(国立民族学博物館教授)
「映画解説」
異なる時代を生きる少年と少女の人生が交錯する、児童文学作家ブライアン・セルズニックのベストセラーを、独創性溢れる作品で賞賛される米国の鬼才トッド・ヘインズ監督が映画化。1977年ミネソタ州。父の素性を語らぬまま母が急逝し、伯母宅に身を寄せるベンは、落雷で聴力を失うも、母との想い出の詰まった実家で手掛かりを見つけ、父を捜しにニューヨークへ向かう。1927年ニュージャージー州。生まれつき耳の聴こえないローズは、自然史博物館に勤める兄から届く葉書と、ある銀幕女優への思慕の情を拠り所に、高圧的な父との暮らしに耐えていたが、彼女に一目逢うべくニューヨーク行きの船に乗り込む。イラストレーターでもある原作者が、自ら脚本を執筆。鋭敏さを増すベンの視覚そのままに、カラフルに描かれる70年代に対し、映画がトーキーに移行する時勢を踏まえ、サイレント映画風に撮られた20年代のパートでは、実際に聴覚に障害をもつオーディションで見出された新星が、静寂の日常の機微を全霊で体現。好対照をなす時空を往還するうちに、彼らの家族の物語が、重なり合いつつ紐解かれていく。自己探求の旅をとおし、この広い世界で誰もが特別であることを想像力豊かに謳い、カンヌ国際映画祭などで好評を得た注目作だ。(映画評論家 服部香穂里)
驚異の部屋で少年と少女が見つけたものは・・・
1927年に生きる、耳が聞こえない少女ローズと、その50年後の1977年、母を失い父の行方も分からない少年ベン。2つの異なる時代を舞台に、それぞれ大切なものを探す2人の子どもの物語は、ニューヨークの自然史博物館を舞台に、不思議に絡み合い始める・・・。
タイトルのWonderstruckは、「驚きの念に打たれた」という意味で、主人公の二人が、日常から逃れて新しい世界を発見し驚嘆する中で成長するという経験を表しているだけでなく、二人の冒険の舞台背景として登場する「驚異の部屋」とも結びついている。
「驚異の部屋」とは、大航海時代に世界中から集められた珍しいものを陳列して披露するために、ヨーロッパの富裕層が屋敷の中に作った部屋やキャビネットのこと。近代以降に自然史博物館、美術館、民族学博物館などにコレクションが細分化される以前の、ミュージアムの先祖のような存在である。映画では、ニューヨークの自然史博物館にかつてあったとされる驚異の部屋や、同博物館のジオラマ展示、1939年ニューヨーク万国博覧会跡地にできたクイーンズミュージアムのニューヨーク市縮小模型などが、物語の重要なポイントとなっている。これらの展示風景をとおして、博物館の原点と歴史を振り返り、驚きと好奇心の場であるミュージアムという空間について考える。(山中由里子)映像から考える<人類の未来>国立民族学博物館 鈴木紀
国立民族学博物館では2016年度より特別研究「現代文明と人類の未来─環境・文化・人間」を開始しました。これは、現代文明の諸課題に対して解決志向型のアプローチをとる研究です。現代文明は物質的な豊かさと普遍的な価値観を広めましたが、同時に環境破壊や文化摩擦を生み出しています。民族学や文化人類学の立場からは、現代文明の矛盾はどのように現れるのか、そしてその解決策は何かを、地域社会や民族文化に視点を据えて考えることが重要です。みんぱくワールドシネマのねらいは、この特別研究の問題意識を来館者の皆様と共有することにあります。世界の映画をとおして、現代文明を問い直し、多元的な価値が共存する人類の未来を展望したいと思います。
国立民族学博物館 企画課 博物館事業係
TEL:06-6878-8210(土日祝を除く9:00~17:00)
※手話通訳を希望される方は、事前にメールまたはFAXでご連絡ください。
E-mail:hjigyo★minpaku.ac.jp(★を@に置き換えて送信ください)
FAX:06-6878-8242 - 日 時:2019年11月9日(土)