国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

クリスマスの飾り  2008年12月17日刊行
鈴木紀

クリスマスの飾りといえば、クリスマスツリーとサンタクロースが定番だろう。しかしカトリック教徒が多数派を占めるラテンアメリカ諸国では、クリスマスツリー以上に重要な飾りがある。キリスト誕生の情景を人形で再現したナシミエントといわれる飾りだ。これはヨセフとマリアの人形の間に、赤子のイエスの像をおいたものであり、家庭や職場などでよく見られる。イエスの誕生を察知した羊飼いや占星術者の人形をそえることもある。さらに入念な場合は、イエスが生まれた納屋の模型をつくり、その中に人形たちを納めることもある。アメリカ展示場の「アンデスの暦」は、南米ペルーで制作された立体的な絵だ。1年を12のシーンに分けて描いており、12番目にあたる図像(写真)はナシミエントを表わしている。アンデス地方の人々が、クリスマスをどのように祝うのか想像しながら、この素朴な図像を眺めるのも一興だろう。

鈴木紀(先端人類科学研究部)

◆今月の「オタカラ」
標本番号:H0210614 / 標本名:アンデスの暦(部分)

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