みんぱっく イスラム教とアラブ世界のくらし
a せっけん〈サーブーン〉
b 歯ブラシ〈スィワーク、ミスワーク〉
ダマスカス/シリア
東地中海地域のなかでも、シリア、レバノン、パレスチナは、せっけんの発祥地といわれ、地元産のオリーブオイルを使ったせっけん製造が、古くからおこなわれてきました。また、イスラム教では身体を清潔に保つことが信仰の一部と考えられており手足と顔、口を丹念に清めること(ウドゥー)が、礼拝の条件とされています。今日でも、東地中海地域ではローマ時代の慣習を取り入れた蒸し風呂、ハンマームが各地でみられます。レバノンやシリアのハンマームでは、地元産のせっけんが納品され、使われています。スィワーク、あるいはミスワークと呼ばれる天然の歯ブラシは、サウジアラビア産です。樹皮を剥き、内部をササラ状にほぐして使用します。プラスチック製の歯ブラシが普及した現在も、この天然の歯ブラシは中高年男性に根強い人気があり、ことに歯についた煙草のヤニ取りには最適といわれます。東地中海地域のなかでも、シリア、レバノン、パレスチナは、せっけんの発祥地といわれ、地元産のオリーブオイルを使ったせっけん製造が、古くからおこなわれてきました。また、イスラム教では身体を清潔に保つことが信仰の一部と考えられており手足と顔、口を丹念に清めること(ウドゥー)が、礼拝の条件とされています。今日でも、東地中海地域ではローマ時代の慣習を取り入れた蒸し風呂、ハンマームが各地でみられます。レバノンやシリアのハンマームでは、地元産のせっけんが納品され、使われています。スィワーク、あるいはミスワークと呼ばれる天然の歯ブラシは、サウジアラビア産です。樹皮を剥き、内部をササラ状にほぐして使用します。プラスチック製の歯ブラシが普及した現在も、この天然の歯ブラシは中高年男性に根強い人気があり、ことに歯についた煙草のヤニ取りには最適といわれます。
レバノンではサイダとトリポリ、シリアではアレッポ、パレスチナではナーブルスが、せっけんの産地として有名です。アレッポやナーブルスのせっけんは、日本にも輸出されており、肌にやさしいと評判です。せっけんを買って郵送するとき、「日本で、アラブの文化を紹介するための標本にする」と説明したら、雑貨屋の店主や郵便局員がとても誇らしげにしていました。一見目立たないものですが、彼らにとってはそれほど自慢できるものなのでしょう。
ちなみに、このぱっくに入っているパレスチナ産のせっけんは白いのですが、アレッポ産のせっけんは外側は茶色ですが中身はきれいな緑色。これは、オリーブオイルに月桂樹の実からとれるオイルを混ぜて作っているためです。月桂樹のオイルは髪によいとされており、肩こりや捻挫に塗布する民間薬としても使われています。とても高価なものなので、月桂樹のオイルが含有されている割合が高いほど、せっけんの値段も高くなります。
『イスラームの日常世界』p.55 ~p.56
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