国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

研究公演

2003年10月26日(日)
音を合わせる、音で合わせる アイオン・ア・ガンディン~南フィリピンのゴング音楽クリンタン
日本ASEAN交流年2003記念事業

  • 2003年10月26日(日) 14:00 開演(13:30 開場)
  • 会 場:国立民族学博物館 講堂
  • 出 演:ミンダナオ・クリンタン・アンサンブル
  • 解 説:寺田吉孝(民族文化研究部助教授)

フィリピン南部にはクリンタンと呼ばれるゴング中心の打楽器アンサンブルがあり、現在でもミンダナオ島やスールー諸島に住むイスラム教徒によって演奏されています。クリンタン音楽は結婚式などの人生儀礼において会衆の娯楽のために演奏され、その演奏は社会的エチケットや慣習にしたがって進行するため、演奏に参加することはそれらを学ぶ機会になっています。また未婚の男女が交流する場としても重要であり、地域によっては言語的メッセージを送る手段にもなっています。さらに、クリンタンは治癒儀礼においてシャーマンがトランスに入るのに不可欠な伴奏音楽としても演奏されています。フィリピンにはイスラム教を信じる民族集団が13あり、それぞれ異なったゴング音楽の伝統をもっています。そのなかで今回の公演では、ミンダナオ島に住むマラナオ人とマギンダナオ人が伝承するクリンタン音楽と、それらのクリンタン音楽を伴奏とする舞踊を主に紹介します。

ミンダナオ・クリンタン・アンサンブル(MKE)
演奏家(男性5名、女性2名)

ミンダナオ・クリンタン・アンサンブル(MKE)
ウソパイ・カダー (Usopay Cadar) ディレクター、演奏家
ダニエル・ギライ (Daniel Giray) 演奏家・舞踊家
リゼエ・レイェス (Lizae Reyes) 演奏家・舞踊家
パトリック・タマヨ (Patrick Tamayo) 演奏家・舞踊家
スコット・ショルツ (Scott Scholz) 演奏家
寺田吉孝 演奏家・解説

 

クリンタン音楽の伝統的な演奏を通して南フィリピンの文化を紹介することを目的として1993年にアメリカ合衆国で結成された。結成以来、MKEは全米芸術基金(NEA)などの援助を受け北米各地で公演。1997年には初来日し、民博を含む3箇所でコンサートを行う。リーダーは、ミンダナオ島出身のクリンタン奏者、ウソパイ・カダー博士。1980年にワシントン大学において民族音楽学のPh.D.を取得し、演奏家としてクリンタン音楽の普及に尽力してきただけでなく、南フィリピン音楽の研究者としても数多くの業績がある。

マイモナ・カダー
スペシャル・ゲスト
マイモナ・カダー (Maimona Cada) 演奏家
ミンダナオ島南ラナオ県タラカ村在住のクリンタン奏者。マラナオ族のクリンタン音楽において第一人者といわれたバイアラビ・カダーの長女。母親の演目・演奏スタイルを最もよく継承しており、レパートリーの広さでも当代随一の名演奏家。