国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

特別展「進化する映像―影絵からマルチメディアへの民族学」

進化する映像


触れて見る不思議な世界 見て楽しむ視覚の旅
 映画が誕生するまで、人びとは〈動く映像〉を作ろうとしてさまざまな装置を考案し、不思議な映像の世界を生み出してきました。約100年前、フランスのリュミエール兄弟によって映画が発明されると、人びとの関心は単なる動きの世界から写し出された内容そのものに移ります。エジソンは物語のある映画に目を向けました。それに対してリュミエール兄弟は世界各地をめぐり、数多くの記録映画を残しました。

幻灯機 ポスター(リュミエール) プラクシノスコープ
東京写真美術館蔵
 特別展「進化する映像」では、アニメーションの原点となる「影絵」や、西洋風のぞきからくり、幻灯機などの初期の映像装置とともに、実際に動かして仕組みを知るための模型も展示、不思議な視覚世界に案内します。さらに、リュミエール兄弟の作品の中心に、世界各地で撮影された最も古い映画約200点を紹介します。その中には、1890年代末期の明治時代の日本も登場します。また、世界で最初に有料映画会が催されたパリのカフェの様子を会場内に再現、当時の雰囲気を味わっていただけます。

 〈動く映像〉を見ることに情熱を燃やした人びとがつくりだした、楽しい映像の世界を体験して下さい。

■トピックス
特別展「進化する映像」情報
ビデオカメラのご先祖は小銃/貴重な資料が英国(MOMI)から到着
特別展のみどころ
天幕風ブースで映像の歴史を/テアトル・オプティク─光と影の劇場
短編映画特別上映会
20世紀初頭から中期にかけての著名な監督の映画を上映

■展示の構成
展示場1F 1F
[1]リュミエールの塔
「リュミエールの塔」は、この特別展のシンボルです。映像を用いた光の塔、光の万華鏡をお楽しみください。
[2]動く絵 -映画を誕生させたユニークなしかけ-
映画が誕生する以前に作られたさまざまな動く絵の装置を紹介します。このコーナーでは、いくつかのレプリカや本物を動 かしてみることもできます。
[3]不思議な映画の箱 -エジソンのキネトスコープ-
エジソンが発明した「キネトスコープ」を紹介します。英国映画博物館所蔵の「キネトスコープ」を動かして、19世紀末のアメリカをのぞいて見てください。
[4]光と影の劇場 -エミール・レノのテアトル・オプティク-
幻燈機で映した背景に、フィルムを手で動かしながら動く映像を映写する装置「テアトル・オプティク」を紹介します。7月と11月には日本初公開の実演をごらんになることができます。
[5]パリのグラン・カフェ -リュミエール兄弟のシネマトグラフ-
シネマトグラフは、映画をスクリーンに写す世界初の装置です。この展示では、1895年にシネマトグラフの最初の有料上映会が開かれたグラン・カフェの「インドの間」を再現しました。
[6]映画は人類の遺産 -映画フィルムの保存-
映画が誕生してから100年余、現在残っている映画よりはるかに多くの映画が失われてしまいました。貴重な映画を未来に残す努力をしている機関と保存方法などを紹介します。
 
展示場1F 2F
[7]カメラが最初にであった人々びと
19世紀末に発明された映画のカメラマンたちは、被写体を求めて世界各地を訪れました。このコーナーでは、世界各地で最初に撮影された映画を紹介します。明治時代の東京、京都、大阪も登場します。
[8]映像人類学のあゆみ
著名な映像人類学者と彼らの作品を紹介します。人びとの生活を記録し、伝えようとした彼らは独自の作風を持っています。私たちが普段みている映画とはまったく違う民族誌映画をごらんください。
[9]映画からマルチメディアへ ~「あなたの決断
100年前の映画には、世界各地の数多くの人びとが登場しています。彼らは、100年後に、自分の姿がこのように展示されるとは全く思っていなかったはずです。もしも、あなたが彼らと同じ立場になったら、どう思いますか。「撮される人の立場」、このことをもう一度考えてみたいと思います。

■関連イベント
テアトル・オプティクの実演「光と影の劇場」
日 時:平成12年7月20日(木)~7月30日(日)
平成12年9月30日(土)~11月6日(月)
毎日3回公演 11:30~、13:30~、15:00~
会 場:国立民族学博物館 特別展示場 1階
アメリカ自然史博物館マーガレット・ミード記録映画祭特集上映会
8月18日(金) 上映会
8月19日(土) 上映会(みんぱくゼミナール)
8月20日(日) 上映会
フランスパリ人類博物館民族誌映画祭特集上映会
9月15日(金) 上映会
9月16日(土) 上映会(みんぱくゼミナール)
9月17日(日) 上映会
山形国際ドキュメンタリー映画祭特集上映会 10月20日(金) 上映会
10月21日(土) 上映会(みんぱくゼミナール)
10月22日(日) 上映会
マジックランタンショー 日時:平成12年11月10日(金)~11月19日(日)
会場:国立民族学博物館 特別展示場 1階


大森康宏(おおもりやすひろ)
特別展(進化する映像)実行委員長
 国立民族学博物館民族文化研究部教授。1943年東京都生まれ。フランス・パリ第10ソルボンヌ大学民族学部博士課程修了。国立民族学博物館助教授を経て、1995年より現職。民族学博士。専門は映像人類学(民族誌映画)。
 著書に「映像人類学 人はじめ」『映像人類学の冒険』(せりか書房)、「THE UNIVERSE OF HULA -フラの宇宙-」『HAWAI'I』DVD video など。
 映像作品40本。撮影・制作監督を務めた「津軽のカミサマ」が1995年フランスパリ第14回民族誌映画大会ナヌーク賞(グランプリ)受賞。

主 催
国立民族学博物館
読売新聞大阪本社
東京都写真美術館
後 援
フランス大使館
ブリティッシュ・カウンシル
大阪日仏協会
京都日仏協会
関西日仏学館
特別協力
英国映画博物館(MOMI)
シネマテーク・フランセーズ
東京大学デジタルミュージアム
NHK大阪放送局
読売テレビ
毎日放送
協 力
日本万国博覧会記念協会
財団法人千里文化財団
日本航空
ヤマト運輸
特別協賛
松下電器産業
協 賛
宝塚造形芸術大学