国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

企画展「ナシ族画家が描く生活世界」-雲南省西北部ではぐくまれた絵心

ナシ族画家が描く生活世界タイトル
ワークショップ
ワークショップ
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ギャラリートーク
 
祭りの楽しさ
ナシ古画 祭りの楽しさ~冬の情景~
張雲嶺
 中国雲南省のナシ族の二人の画家の作品を創作に向けた画家の想いやその文化的背景を示す品々とともにご紹介します。
ナシ族は雲南省の西北部、街並みが世界遺産に登録されている麗江を中心とした地域に生活する人々です。北の草原文化と南の農耕文化が交差する土地で、ナシ族の日々の暮らしや宗教にもそれが投影されています。そこで育った絵の好きな少年たちは、後に画家としての創作活動の中で、改めて自分たちの生活世界と出会うことになりました。
 張雲嶺は「現代トンパ画」と称される画風を代表する画家の一人で、その個性あふれる造形表現や構図は、見る者に強いインパクトを与えます。フランス、日本、韓国、アメリカなど国際的にも活躍するナシ族画家の一人です。「農民画家」を自称する張春亭は、専門的な美術教育を受けることなく、土の香りや懐かしさが漂う作品を描き続けています。その絵は彼の内面に想いを馳せながら見つめる時、一層深く味わうことができるでしょう。さまざまに対照的な二人ですが、どちらの絵もナシ族の生活や文化を強く感じさせます。
 ナシ族の宗教的職能者、トンパが伝承し、儀礼で朗誦する文言を経典に記すのに使われてきた絵のような文字-「トンパ文字」は、見る者を不思議な世界へと誘います。二人の画家の作品にもこの文字をはじめとして、トンパが担ってきた文化がさまざまな形で反映されています。絵画の題材、造形や色彩表現のみならず、トンパ経典と同様、手漉きの「トンパ紙」を用い、手製の竹筆を使って描かれている点も注目です。それらの資料もあわせて展示します。
 ナシ族の生活の機微や世界観が描き込まれた絵の魅力を存分にお楽しみください。
 
  国立民族学博物館・准教授  横山廣子
◆張雲嶺
1955年雲南省麗江ナシ族自治県生まれ。現在、雲南民族博物館副研究員。中国美術家協会会員。1980年雲南芸術学院美術系卒業後、麗江地区群芸館に勤務しながらナシ族トンパ文化を研究し、広く民間芸術を渉猟する中で、トンパ文字表現を取り入れた絵画表現にたどり着く。1986年フランスで開催の雲南国際文化交流センター主催「中国雲南絵画展」に27点の作品を出品。1988年第一回雲南民族芸術祭期間中(昆明市)、「ナシ人張雲嶺現代トンバ画展」を開催し、好評を博す。1990年5月東京表参道の画廊にて個展。同年10月ソウルにて個展。2001年韓国にて展覧会。2003年アメリカ合衆国ワシントン州フィットマン・カレッジに半年間滞在して講義と研究に従事する傍ら、各地で個展開催。
 
◆張春亭
1958年雲南省麗江ナシ族自治県生まれ。現在、中国農民書画研究会会員、麗江石鼓書画協会副会長。地元の中学卒業後、農業に従事。村内の共産主義青年団や民兵組織でリーダーを務める間、「宣伝画」を描く。1984年より映画館に勤務し、映画広告の絵を描く。1986 年雲南省の映画広告画で優秀賞受賞。1990年から麗江県石鼓鎮の家に戻り、農業の傍ら、ナシ族の農民の姿を描くようになる。1993年に中国農民書画展優秀賞受賞。1995年第一回中国農民書画コンクール優秀賞受賞。1999年雲南省迪慶飛行場の壁画「シャングリラ」制作に参加。国際ナシトンパ文化芸術祭や著名ホテルなどの背景画を制作。2001年中国中央テレビ国際部が「張春亭と石鼓ふるさと画廊」を放送。
 

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大地の恵み
ナシ古画 種を蒔く~春の情景~
(張雲嶺)
狩猟の季節
ナシ古画 狩猟の季節~夏の情景~
(張雲嶺)
狩猟の季節
ナシ古画 大地の恵み~秋の情景~
(張雲嶺)

しっかり勉強するんだよしっかり勉強するんだよ
(張春亭) 中国語で「好好読書」と名づけられたこの絵は、画家とある夫婦との町での出会いによって描かれることになった。物売りをするために町までやってきた夫婦。店先の公衆電話をかけ始めた母親の話すことばが画家に聞こえてきた・・・
台所の香り
台所の香り
(張春亭)
雨の後の魚獲り
雨のあとの魚とり
(張春亭)
 
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トンパ経典
トンパ経典
トンパ経典
トンパ絵画
トンパ絵画
   

ナシ族トンパ楊子1 ナシ族トンパ様子2 ナシ族トンパ様子3
  ナシ族トンパの様子(シャングリラ県)  

ナシ族の人々 ナシ族の人々(シャングリラ県) ナシ族の人々(シャングリラ県)
  ナシ族の人々(玉龍ナシ族自治県)   ナシ族の人々(シャングリラ県)  

玉龍雪山
玉龍雪山
金砂江
金沙江
(長江上流)

ナシ族家屋
ナシ族家屋
(シャングリラ県)
白水台
白水台
(シャングリラ県にあるナシ族聖地)

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■ギャラリートーク
※現在、決定している日時のみ *今後も日時が決定次第、お知らせします。
3月28日(土) 13:00~13:15  担当:横山廣子
4月6日(月) 16:00~16:30  担当:横山廣子
4月7日(火)  14:00~14:30 16:00~16:30  担当:横山廣子
4月11日(土) 14:00~14:30 15:00~15:30  担当:岡晋(本館外来研究員・日本学術振興会特別研究員)
4月12日(日) 13:50~14:20 15:40~16:10  担当:横山廣子
4月25日(土) 11:00~11:15  担当:横山廣子
5月9日(土)  12:30~12:45  担当:横山廣子
5月6日(水・祝日)14:30~15:00  担当:横山廣子
5月23日(土) 14:30~15:00  担当:横山廣子
※新型インフルエンザ感染拡大防止による臨時休館のため、中止いたしました。
6月13日(土) 14:30~15:00  担当:横山廣子
みんぱくウィークエンド・サロン 研究者と話そう
  「ナシ族画家たちのふるさと」
開催中の企画展の絵画作品とその背景にあるナシ族の社会と文化についてお話しします。
4月29日(水・祝日)午後2時30分~3時30分  
話者 :横山廣子
詳細はこちら
 
■ワークショップ
トンパ文字de書       5月9日(土)  13:00~16:00 詳細はこちら
トンパ文字de消しゴムはんこ 3月28日(土) 13:30~16:00 詳細はこちら
トンパ文字de絵を描こう   4月25日(土) 11:30~16:00 詳細はこちら
トンパ文字ワークシート・ダウンロード 
■オープニング・デイズ〔3月19日(木)~3月22日(日)〕 ★イベント
※終了しました
この期間中、コンサートやギャラリー・トークがあります。ギャラリー・トークの後、コミュニケーション・タイムを設け、展示企画者に質問をしたり、自由に対話をしたりする時間があります。開幕したての展示をゆっくりご覧になり、その印象や情報を周りの方々にもお知らせください。
展示場コンサート「絵画と響き合う笛-雲南のインスピレーション-」
  3月20日(金)第1回午後2時~2時30分/第2回目午後3時30分~4時  
演奏:劉宏軍氏
詳細はこちら
 
  ギャラリートーク       担当:横山廣子(本館准教授)  
  ・3月19日(木)/22日(日)  14:00~14:30と15:00~15:30 の2回
・3月20日(金・祝日)    15:00~15:30
・3月21日(土)         13:00~13:30と15:15~15:45 の2回
 
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