企画展「歴史と文化を救う-阪神淡路大震災からはじまった被災文化財の支援」
- 会期:2010年7月22日(木)~ 9月28日(火)
- 場所:国立民族学博物館 企画展示場A
- 開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
- 休館日:水曜日(水曜日が祝日の場合は、翌日が休館)
地震や水害などの災害が発生すると、さまざまな支援活動が展開され、被災地は復興の道をたどります。
このような活動のなかに、被災した文化財の復興を支援する活動があることをご存知でしょうか。
災害時には、人命救助や生活復旧などの支援が優先されることはいうまでもありませんが、地域の歴史や文化の記憶をとどめた文化財の救出活動も大切なことです。また、被災した文化財を救出し、あるべき姿にもどして次世代へ引き継いでいくことは、復興へと向かう人々の心の支えにもなります。
本企画展では、さまざまな災害における支援活動の過程を、実際に被災した文化財とともにふりかえります。被災文化財の救出のコーナーでは、市民をはじめとするボランティア活動を通じて地元の文化を再認識し、人々が元気をとりもどしていく様子をみていきます。また、保存修復活動のコーナーでは、研究者や専門家による的確な応急措置や修復技術の実際を示していきます。最後に、これまでの事例をもとに、今後の災害に備えるさまざまな取り組みも紹介します。
この関西の地で未曽有の被害をもたらした阪神淡路大震災から15年。そこからはじまった文化財の支援活動をみていただき、将来に向けた文化財の保護活動について、思いを馳せていただければ幸いです。
国立民族学博物館 文化資源研究センター 日髙真吾
被災した文化財の支援活動では、多くの人がさまざまな活動にかかわります。これらの活動を段階的に整理すると、おおよそ8段階に分類できます。どの事例においても、すべての段階にわたってあらゆる活動がおこなわれています。
災害が発生して被害を受けた状況で、何も対処されていない状態 | 文化財を被災現場から運び出し、安全な場所で一時的に保管する活動 | ほこりや泥で汚れたり、壊れてしまった文化財がさらに悪い状態にならないためにおこなう作業 | 救出した文化財の点数や歴史的背景を確認し、記録する作業 |
本格的な修復が必要と判断された被災文化財に対して保存修復の専門家がおこなう作業 | 所有者のもとに返却、もしくは、博物館などに預けて安全に保管するための活動 | 「整理・記録」や「保存修復」の過程でおこなわれる専門的な研究や、その成果が公開される活動 | 支援活動全体を通して得られた教訓を生かし、次の災害に備えるための活動 |
展示会場では紹介しきれない各事例の活動レポートは、リーフレットにまとめ、お配りしております。
友の会講演会 第386回「被災した文化財が語りかける歴史と文化の記憶」
ウィークエンド・サロン 研究者と話そう「被災文化財を救う」
- 開催日:2010年8月15日(日)14:30~15:30
- 開催場所:国立民族学博物館 企画展示場A
- 講師:日髙真吾(国立民族学博物館 准教授)
文化財保存修復学会公開シンポジウム「文化財をまもる―みんぞく資料をまもる―」
- 開催日:2010年9月11日(土)13:00~16:30
- 開催場所:国立民族学博物館 講堂
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