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みんぱく世界の旅

パプアニューギニア(3) 『毎日小学生新聞』掲載 2015年7月11日刊行
林勲男(国立民族学博物館准教授)

トーライ族の仮面ダンス
噴煙上げ続けるタブルブル山

パプアニューギニアの島の一つ、ニューブリテン島にある湾岸の町・ラバウルについて、もう少し見てみましょう。ラバウルが発展したのは、19世紀末、当時のドイツ帝国が、ここに植民地を統治するための施設や住宅をつくってからです。第1次世界大戦でドイツ帝国は敗れ、ラバウルはオーストラリアが支配するようになりました。しかし、1937年にバルカン山とタブルブル山が噴火し、約500人が亡くなり、町も大きな被害を受けました。第二次世界大戦中には、日本軍が占拠し、一時は約10万人の日本兵がラバウルに住んでいました。


夜に披露されるバイニング族のファイアダンス


火山灰を避けるため傘をさして仮面フェスティバルを見物しています

人気の仮面フェスティバル

1994年の二つの火山の噴火のあと、町を早く復興させる目的もあって、毎年7月に仮面フェスティバルがおこなわれるようになりました。しかし、タブルブル山は噴煙を上げ続け、風向きによってはラバウルにも火山灰が降りますし、時には噴火で小さな石も飛んでくることがあります。ですので、仮面フェスティバルは、火山の危険性を見ながら、開催地がラバウルになったり、湾の南にあるココポになったりします。

パプアニューギニアには数多くの民族が住んでいて、それぞれが異なった文化を持っています。その中で、ラバウルのあるニューブリテン島と隣のニューアイルランド島には仮面を使ったダンスが数多くあります。地元のトーライ族の仮面ダンスやバイニング族のファイアダンスは、仮面フェスティバルでも大人気です。国内だけでなく、外国からも大勢の人が見物にやってきます。毎年、火山噴火の危険を考えながら、安全に開催するのは大変です。

 

一口メモ

仮面といっても、顔に付けるものだけでなく、頭にすっぽりかぶるもの、さらには体全体をおおってしまうものなどがあります。

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