みんぱく世界の旅
- 中国(4) 『毎日小学生新聞』掲載 2016年4月30日刊行
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卯田宗平(国立民族学博物館准教授)
ウ飼い漁継ぐ若者たち
ポーヤン湖のウ飼い漁では、新たに漁を始めた若者を多くみることができます日本の漁村では、漁師の高齢化が進み、若者も漁業を就かないため、漁業の担い手がみつからないことがあります。一方、江西省ポーヤン湖のウ飼い漁では、10代、20代の若者がウ飼い漁を新たに始めています。なぜ、かれらはウ飼い漁を始めるのでしょうか。
ポーヤン湖のウ飼い漁は夏になると炎天下で、冬になるといてつく寒さのなかで毎日6時間以上も操業を続けなければなりません。自然のなかで魚を探し、それをとる漁業はたいへん厳しい仕事なのです。
にもかかわらず、ウ飼い漁を始める若者が少なくありません。かれらは地元の中学を卒業したあと、いちど上海市や広東省に出稼ぎに出ます。その後、出稼ぎ先から戻ってきてウ飼い漁を始めるのです。
漁が休みのとき、岸に飼育しているカワウにえさやりをする若い漁師ウ飼い漁師の李さん(18歳)も出稼ぎ先の広東省から地元に帰ってきてウ飼い漁を始めました。ある時、わたしは李さんに「なぜウ飼い漁を始めたの?」と聞きました。すると「いつも家族と一緒に過ごせるから」と答えました。
実際、李さんもウ飼い漁は厳しい仕事だといいます。ですが、漁が終わるとその日にとれた魚を使った料理をつくり、家族といっしょに楽しそうに夕食をとったり、幼なじみの友人たちと夜おそくまで遊んだりすることもあります。
李さんがウ飼い漁という厳しい仕事を続けるのは、家族を思う気持ちや友人たちと過ごす楽しい時間などがあるからです。
旧正月になり、出稼ぎ先から大きな荷物をたくさん担いで故郷に帰る人たち一口メモ
中国では2億人以上が出稼ぎをしているといわれています。旧正月(中国の正月)になると、故郷に帰る人たちで電車やバスはたいへん混みます。
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