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みんぱく世界の旅

東南アジアの仏教(4) 『毎日小学生新聞』掲載 2016年9月17日刊行
平井京之介(国立民族学博物館教授)
お参りの礼儀作法

もっとも人気があるタイ・ピサヌロークの仏像

今回はお寺のお参りの仕方を紹介しましょう。東南アジアのお寺はだれでも自由に入れますが、ちょっとしたエチケットのようなものがあります。
お寺に入るときは、なるべくきちんとした格好をしてください。肩や太ももを出すのは失礼なことです。建物に入る前にくつを脱ぎましょう。みなさんは大丈夫だと思いますが、外国人観光客のなかにはこれを忘れてしまう人もいるのです。


正式な座り方の「女座り」をして僧の話を聞く村人たち

3回礼をする意味

中に入ると、必ず中央奥にブッダの像があるはずです。まずはその前に座りましょう。東南アジアでの正式な座り方は、いわゆる「女座り(正座を横にくずした座り方)」ですが、正座でもかまいません。顔を上げ、正面のブッダ像をみてください。何かのポーズをしているはずです。これはブッダの人生における重要な物語を表しています。そのブッダ像に対し、目の前で両手を合わせ、床に手をついて3回礼をします。これは、ブッダとブッダの教え、そして僧のそれぞれに礼をするためです。
礼が終わったら、足をくずして結構ですが、ブッダの方向に足を投げ出すのは失礼です。上を見てください。お寺の天井に、お釈迦様の人生や地獄などの壁画が描かれているかもしれません。

 

お寺でよく見かけるさい銭箱

帰る前に、さい銭箱に少しお金を入れてみませんか。東南アジアのお寺がいつも美しいのは、お寺を大切に思ってくれる人びとの心づかいによるのです。
建物を出る前にもう一度、入ってきたときと同じように、ブッダ像に向かって3回お別れの礼をして帰りましょう。

 

一口メモ

お釈迦様とは仏教をはじめた人のこと。ブッダとは悟りを開いた人のこと。つまりお釈迦様が、修行の結果、ブッダになったのです。

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