館員の刊行物
- 敦煌莫高窟と千仏図――規則性がつくる宗教空間 2020年3月11日刊行
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末森薫(著)
法藏館
【科研プロジェクト成果】出版物情報
- 出版社:法藏館 出版社ホームページはこちら
- 定価:12,000円(税抜)
- ISBN:978-4-8318-7731-4
- 判型:B5版
- 頁数:354頁
- 科研プロジェクト
「中国甘粛仏教石窟壁画の制作技法に関する多面的研究(2016-2018)」成果
「敦煌莫高窟と千仏図(2019)」成果
主題・内容
敦煌莫高窟の多くの洞窟には、小さな仏を並べた「千仏図」が描かれている。一見単調な図のため、壁面を埋める装飾とも捉えられてきたが、その規則性が示す視覚的特徴は、宗教的空間をつくる上で重要な役割を担う。
おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)
本書には、カラー図版、モノクロ図版の他、各洞窟の構成内容を示した筆者作成の模式図など、視覚的な情報が多く収録されている。やや専門的な部分もあるが、視覚的な情報を頼りに、千仏図がつくり出す古代の仏教世界を観じてもらいたい。
目次
カラー口絵序章 敦煌莫高窟と千仏図――研究背景と課題
序 研究の背景
第1節 敦煌莫高窟
第2節 多仏思想と千仏図
第3節 莫高窟千仏図の先行研究
第4節 本書の構成第1部 規則性を備える千仏図の視覚的特徴と役割第1章 規則性を備える千仏図の配色および視覚的特徴
序 本章の背景・目的
第1節 規則性を備える千仏図の形式
第2節 着衣形式2種・配色8体一組で描かれる千仏図の配色
第3節 規則性を備える千仏図の視覚的特徴
第4節 規則性を備える千仏図の形式変化
結 規則性を備える千仏図の特徴第2章 千仏図が示す視覚的特徴の役割――第254窟の規則性を備える千仏図
序 本章の背景・目的
第1節 第254窟の空間構成
第2節 第254窟後部空間の千仏図
第3節 第254窟前部空間の千仏図
第4節 第254窟前部空間の解釈
結 第254窟における規則性を備える千仏図の役割第2部 敦煌莫高窟における千仏図および石窟空間の展開第1章 北朝前期における千仏図と造営の展開
序 本章の背景・目的
第1節 北朝前期窟の分期
第2節 北朝前期第1期諸窟の空間構成
第3節 北朝前期第2期諸窟の空間構成と造営の展開
第4節 北朝前期第3期諸窟の空間構成と造営の展開
結 千仏図の設計と北朝前期の窟空間第2章 西魏窟の千仏図と石窟空間
序 本章の背景・目的
第1節 西魏窟の定義
第2節 西魏中心柱窟の空間構成
第3節 西魏方形窟の空間構成
第4節 西魏方形窟と中心柱窟の関係性
結 西魏窟における規則性を備える千仏図の役割第3章 北周窟の千仏図と石窟空間
序 本章の背景・目的
第1節 北周窟の分類
第2節 北周中心柱窟の空間構成と方向性を示す図案の特徴
第3節 北周方形窟の空間構成と方向性を示す図案の特徴
第4節 北周窟における方向性を示す図案の配置・設計
結 方向性を示す図案から捉える北周窟の特徴第4章 隋窟の千仏図と石窟空間
序 本章の背景・目的
第1節 隋第1期窟の空間構成と方向性を示す図案
第2節 隋第2期窟の空間構成と方向性を示す図案
第3節 隋第3期窟の空間構成と方向性を示す図案
第4節 隋窟における方向性を示す図案の特徴と役割
結 方向性を示す図案から捉える隋窟の特徴第3部 莫高窟と規則性を備える千仏図――成果と展望終章 規則性を備える千仏図に見る莫高窟の特徴および展開
序 本書の論点
第1節 規則性を備える千仏図の視覚的特徴の解明
第2節 石窟空間における規則性を備える千仏図の役割の検証
第3節 規則性を備える千仏図を通した莫高窟の解釈
結図版一覧/参考文献一覧/初出論文一覧/あとがき/英文要旨/中文要旨/索引