館員の刊行物
- 現代手芸考――ものづくりの意味を問い直す 2020年9月26日刊行
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上羽陽子・山崎明子(編)
フィルムアート社
【共同研究成果】出版物情報
- 出版社:フィルムアート社 出版社ホームページはこちら
- 定価:2,400円(税抜)
- ISBN:978-4-8459-1911-6
- 判型:四六判
- 頁数:312頁
- 共同研究 「現代「手芸」文化に関する研究」成果
主題・内容
なぜ人はものをつくるのか──
文化人類学、ジェンダー研究、美術・工芸史、ファッション研究…さまざまな視点から、いちばん身近なものづくり=「手芸」の輪郭をあぶり出す。
「つくる」「教える」「仕分ける」「稼ぐ」「飾る」「つながる」の6つのアプローチで迫る、はじめての手芸論。おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)
かつて「女らしさ」や「素敵な家庭」といった価値と結びつけられていた手芸も、いまや従来の概念を超え、世界各地で余暇的・趣味的な仕事として多様な展開をみせています。それらは男性も担い手に含み、アート、フェアトレード商品、エスニック雑貨などとして美術や市場の領域にも進出しています。また手軽なキットやインターネット上のハンドメイドマーケットの登場により、誰でもつくれて誰でも売れる環境となっているのが、現代の手芸をめぐる状況です。さらに趣味を通じた人的ネットワークの形成や、それらの災害後におけるケアとしての機能なども注目を集めています。
これまで批評・研究の世界で取り上げられてこなかった未開拓の分野=「手芸」について、「つくる」「教える」「仕分ける」「稼ぐ」「飾る」「つながる」の6 つのテーマから迫る、画期的な一冊です。目次
序論:「手芸的なるもの」を探る 上羽陽子
1章 つくる
論考:「手芸」と技術──「つくること」に与えられた社会的意味 山崎明子コラム:手芸的なるものにつき動かされる男子にとって、手芸とは何か? 中谷文美手芸でない織物・手芸である織物 金谷美和つくりたくないものは、つくりたくない 上羽陽子座談会:つくる×技術2章 教える
論考:手芸空間の同床異夢──何のために教えるのか/何のために習うのか 杉本星子コラム:伝えられる知識と伝えられない知識 新本万里子“アイヌ文様刺繍”を教える 齋藤玲子芸術へとひらかれる学び ひろいのぶこ座談会:教える×伝承3章 仕分ける
論考:手芸とファッションから美術史を描き直す 蘆田裕史コラム:「工芸」と「手芸」の仕分けの現場 木田拓也モノから探るネパールの「手芸」 南真木人私の制作と手芸 野田凉美南アジアの美術作家が用いる「工芸・手芸」イメージ 五十嵐理奈座談会:仕分ける×アイデンティティ4章 稼ぐ
論考:商品化する手芸──「手芸」から「ハンドメイド」へ 木田拓也コラム:近代アメリカ女性に見る針仕事と階級の関わり 平芳裕子ハンドメイド、「人気」と「稼ぎ」の向かう先 村松美賀子中国・モンの衣装を商売にする 宮脇千絵座談会:稼ぐ×社会階層5章 飾る
論考:女が住まいを飾るとき──手芸の「過剰性」をめぐって 中谷文美コラム:機能的な装飾 蘆田裕史戦後の少女と手芸 山崎明子隙間を埋める刺繍作業 上羽陽子座談会:飾る×自己表現6章 つながる
論考:手芸がつくる「つながり」と断絶 金谷美和コラム:手芸と平和、そして小さい経済を考える 塩本美紀団地の手芸 山崎明子東日本大震災避難ママたちの「お裁縫会」 杉本星子座談会:つながる×社会空間