花(6) ─ サクラ模様のジャワ更紗(さらさ) ─
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ジャワ更紗は、インドネシアのジャワ島と周辺の島々でつくられてきたロウケツ染めの布だ。意外にもその模様の大多数は異文化をルーツとし、日本文化の影響による模様も見いだされる。
代表例はサクラの花模様で、サクラの花とともにチョウや鳥があらわされたジャワ更紗は、友禅染をほうふつとさせる。それは第二次世界大戦中に日本軍が日本の扇子のデザインを見本にしてつくらせたものであった。特に、カイン・ホコカイと呼ばれてきたそれらの更紗は、日本軍がジャワ島の全住民を対象に発足させた翼賛団体「ジャワ奉公会」で功績のあった個人やグループへの褒賞とされていた。
「美しい日本」の国花が戦争の宣撫(せんぶ)工作に使われるというようなことは、今後はぜひともご免被りたいものである。
国立民族学博物館 吉本 忍
代表例はサクラの花模様で、サクラの花とともにチョウや鳥があらわされたジャワ更紗は、友禅染をほうふつとさせる。それは第二次世界大戦中に日本軍が日本の扇子のデザインを見本にしてつくらせたものであった。特に、カイン・ホコカイと呼ばれてきたそれらの更紗は、日本軍がジャワ島の全住民を対象に発足させた翼賛団体「ジャワ奉公会」で功績のあった個人やグループへの褒賞とされていた。
「美しい日本」の国花が戦争の宣撫(せんぶ)工作に使われるというようなことは、今後はぜひともご免被りたいものである。
国立民族学博物館 吉本 忍
毎日新聞夕刊(2007年5月9日)に掲載