移動する(4) ─托鉢(たくはつ)僧─
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2500年前、苦しみからの解放を求めて遍歴し、悟りを開いた修行者がいる。釈尊である。彼は行く先々で施しを受けながら旅をつづけた。現在、東南アジア仏教でみられる托鉢の起源だ。
鉢をたずさえて村を歩き、食を乞(こ)う。たったこれだけだが、多少の作法もある。午前中におこなう。裸足で歩く。いつも道を変え、おいしいものをくれる人のところへ通わない。差し出されたものは何でも食べる。豚肉も可だ。
目的は、食欲に支配されず、好きな物が食べられない苦しみから離れることにある。また、在家者に命を支えられていることを実感する契機でもある。
しかし僧だけのために托鉢があるのではない。在家者は布施を通じて徳を積み、幸せになる。来てもらわねば、こちらも困る。
国立民族学博物館 平井京之介
鉢をたずさえて村を歩き、食を乞(こ)う。たったこれだけだが、多少の作法もある。午前中におこなう。裸足で歩く。いつも道を変え、おいしいものをくれる人のところへ通わない。差し出されたものは何でも食べる。豚肉も可だ。
目的は、食欲に支配されず、好きな物が食べられない苦しみから離れることにある。また、在家者に命を支えられていることを実感する契機でもある。
しかし僧だけのために托鉢があるのではない。在家者は布施を通じて徳を積み、幸せになる。来てもらわねば、こちらも困る。
国立民族学博物館 平井京之介
毎日新聞夕刊(2007年8月22日)に掲載