便利?不便?(6) ─デンマークの公共空間─皆の場所─
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少子化傾向に歯止めがかかり出生率が上昇したというデンマークの秘密を知りたくて、ここ数年繰り返し訪ねている。その象徴とも言えるたくさんの乳母車が、繁華街でもデパートの中でもすいすい動いている。車輪が大きく頑丈そうだ。子どもの外気浴が重視されているデンマークでは、冬でもビニールカバーをかけて出かける。バスの中のゆったりした空間に立っていると、視線を感じることがあった。そこは乳母車用のスペースだったのだ。
電車も同様で、広いスペースに立っていると、さまざまな人々がやってくる。よく見ると車輪止めとイスがセットになっていて、乳母車や車椅子、自転車などと共に乗り込む人たちの優先席だった。犬もゆっくり飼い主のそばで寝ころんでいる。長距離列車ではドスンバタンと騒々しい車両もある。子どもたちが自由に遊べるように、滑り台まで付いたカラフルなスペースが設けられているからだ。
乗り込んだら、私が居てもいい場所なのか見回すことが不可欠だが、慣れてくると、誰もが空間を確保できてゆったりした雰囲気だと感じるようになった。居る場所が確保されていることは、皆の満足につながるという印象を受ける。
国立民族学博物館 鈴木七美
電車も同様で、広いスペースに立っていると、さまざまな人々がやってくる。よく見ると車輪止めとイスがセットになっていて、乳母車や車椅子、自転車などと共に乗り込む人たちの優先席だった。犬もゆっくり飼い主のそばで寝ころんでいる。長距離列車ではドスンバタンと騒々しい車両もある。子どもたちが自由に遊べるように、滑り台まで付いたカラフルなスペースが設けられているからだ。
乗り込んだら、私が居てもいい場所なのか見回すことが不可欠だが、慣れてくると、誰もが空間を確保できてゆったりした雰囲気だと感じるようになった。居る場所が確保されていることは、皆の満足につながるという印象を受ける。
国立民族学博物館 鈴木七美
毎日新聞夕刊(2009年1月14日)に掲載