あいまいさの文化(6) ─ 通訳と巫術(ふじゅつ) ─
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境界を越えるという行為は特別の能力や技術を要求する。通訳は二つ以上の言語世界を自在に往還する表現技術がないとつとまらない。しかも、正確さだけでなく、時に臨機応変の人間的対応がもとめられる。
日本でひらかれたある国際会議の席上、通訳をかってでた某氏は、日本語だけで通用する冗談で会場がどっと沸いたとき、およそ関係のない冗談を英語でしゃべり、外国人の笑いをとった。たわいない場面だったが、その話術にいたく感心した。
巫者は精霊や死霊と交流し、現世と他界を往来する能力をもつと信じられている。そのお告げやふるまいは、苦悩する者の心を打ち、不安を解消する。そこでは好ましい結果が巫術を受容可能なものとする。真偽のほどは別として。
国立民族学博物館 中牧弘允
日本でひらかれたある国際会議の席上、通訳をかってでた某氏は、日本語だけで通用する冗談で会場がどっと沸いたとき、およそ関係のない冗談を英語でしゃべり、外国人の笑いをとった。たわいない場面だったが、その話術にいたく感心した。
巫者は精霊や死霊と交流し、現世と他界を往来する能力をもつと信じられている。そのお告げやふるまいは、苦悩する者の心を打ち、不安を解消する。そこでは好ましい結果が巫術を受容可能なものとする。真偽のほどは別として。
国立民族学博物館 中牧弘允
毎日新聞夕刊(2006年1月18日)に掲載