国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

伝統芸能最前線(8) ─ 平和の祭典 ─

異文化を学ぶ


文化・芸能交流は人びとを結びつけて平和を築き、経済効果ももたらす。パプアニューギニアの小島では、伝統的に島民は物々交換の中継役をしている。以前は、それぞれ言葉も通じない訪問先の島で歌や踊りを披露し、祝祭ムードのなかで交換を進めた。時に、歌や踊りも売買されたという。

現在、パプアニューギニアでは毎年、シンシンという歌と踊りの祭りが催されている。数十のグループが集まる国最大のイベントとなっている。800をこす民族が暮らすこの国では、国民の統合と観光振興を兼ねてのことである。

芸術文化の祭典は太平洋の島嶼(とうしょ)国家間でも企画されている。30ほどの国や地域が4年に1回、太平洋芸術祭を開いている。次回の10回目は08年にアメリカン・サモアで開催される。

国立民族学博物館 小林繁樹

毎日新聞夕刊(2006年3月22日)に掲載