いきいき五感力(4) ─ 眼(め)の力 ─
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インドのヒンドゥー寺院で目を閉じて神像を拝んでいたら、周囲から「なぜ神様をよく見ないのか」と不思議がられたことがある。
ヒンドゥーの場合、食い入るように神像を見つめその姿を胸のうちに刻みつけてから一礼するのが拝礼の作法なのだ。神像も眼が特別に大きくできていることが多い。小さな社に祀(まつ)られている神像には霊力のある石に眼だけがついていて顔かたちは特にないというものすらある。
拝礼の時、特によく見つめるのはこの眼だ。神像もまたこの眼を通して信者を見つめ返すという。ヒンドゥーの神と人は眼を見交わすことがコミュニケーションの手段なのだ。インドでは見知らぬ人からじっと見つめられてたじろぐことがしばしばある。彼らはその視線の先に何を見通しているのだろう。
国立民族学博物館 三尾 稔
ヒンドゥーの場合、食い入るように神像を見つめその姿を胸のうちに刻みつけてから一礼するのが拝礼の作法なのだ。神像も眼が特別に大きくできていることが多い。小さな社に祀(まつ)られている神像には霊力のある石に眼だけがついていて顔かたちは特にないというものすらある。
拝礼の時、特によく見つめるのはこの眼だ。神像もまたこの眼を通して信者を見つめ返すという。ヒンドゥーの神と人は眼を見交わすことがコミュニケーションの手段なのだ。インドでは見知らぬ人からじっと見つめられてたじろぐことがしばしばある。彼らはその視線の先に何を見通しているのだろう。
国立民族学博物館 三尾 稔
毎日新聞夕刊(2006年4月26日)に掲載