色(8) ─ チベット語の色 ─
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色は、色相・明度・飽和度を指標として規定される。色相名称はモノの名が多く、例えば色名と思い込んでいるピンクはカーネーションの一種である。本来的に色名としてしか分析できないものには、現代日本語なら「い」が接尾する。アカ・クロ・シロ・アオがそれであるが、万葉仮名では明・暗・顕・漠を当てていることから、色名であると同時に、明度や飽和度の指標としても機能していたようだ。
チベット語もこれに似た構造を持っており、日本語と同じ基本4色には形容詞のマークである -poが接尾する。興味深いのはチベット語でもアカが飽和度の指標になっていることで、例えばミドリ・アカという語は緑と赤の混合色ではなく、「最も緑らしい緑」を意味する。日本語の「真っ赤な嘘(うそ)」と同じ発想ではなかろうか。
国立民族学博物館 長野泰彦
チベット語もこれに似た構造を持っており、日本語と同じ基本4色には形容詞のマークである -poが接尾する。興味深いのはチベット語でもアカが飽和度の指標になっていることで、例えばミドリ・アカという語は緑と赤の混合色ではなく、「最も緑らしい緑」を意味する。日本語の「真っ赤な嘘(うそ)」と同じ発想ではなかろうか。
国立民族学博物館 長野泰彦
毎日新聞夕刊(2006年11月22日)に掲載