国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

旅・いろいろ地球人

そう言えば、あのとき・・・・

(5)女の装い一部始終  2010年5月12日刊行
上羽陽子(文化資源研究センター助教)

インド旅行の際に女性衣装「サリー」を着せてもらう筆者(左)

もう14年前になる。初めてインドを訪れた時のことだった。当時、大学生だった私は、空港の待合室で一緒だった若い夫婦の誘いに応じて、彼らの家を訪れた。ラージャスターン州の州都ジャイプルを周遊していた時のことであった。

数日間、その家でお世話になった後、出会った記念にと、夫婦が私を兄夫婦と共に家族旅行に連れていってくれた。目的地は、標高1220メートルの湖畔を中心に開けた街、マウント・アブー。ジャイナ教の聖地であり、避暑地や新婚旅行先としても有名な地であった。

旅行中、ジャイナ教寺院やインド映画のワンシーンのような新婚カップルの記念撮影風景など、数々の印象深い出来事があった。そして何より、私にとって刺激的だったのは、女性たちと寝起きを共にしたおかげで、化粧や髪の手入れの仕方、装身具や下着のつけ方、形態など旅行者では見ることができなかった装いに関する一部始終をじっくりみることができたことであった。

今、思い返せば、若さゆえの無謀な行動であったが、無手法(むてほう)な行動が出来なくなった今の自分からすると少しだけ羨(うらや)ましくも思える。

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