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贈り物
- (3)サリーの新作ラッシュ 2013年1月24日刊行
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杉本良男(国立民族学博物館副館長)
昨年のフォト・サリーのパンフレットと実物インドの暦は複雑で、正月もいろいろである。暦の上の正月ではないが、国中で祝われる光の祭ディーパーワリー(10~11月)は実質的な正月にあたり、買い物、贈り物のシーズンでもある。
人びとは友人、親戚やお手伝いさんなどに贈り物をする。なかでもサリーを贈るのが盛んで、この時期サリー店は大にぎわいになる。サリー店は、どっと新作を登場させて、女性の目を引こうと懸命だ。
サリーは民族衣装といわれていて、毎年デザインが変わるとは思われないかもしれない。しかしサリーには流行があり、とくに1990年代以降は、各メーカーが斬新なデザインを競うようになっている。デザイナーはアイデアを盗まれないよう警戒しながら構想を練る。そして、ディーパーワリーを目指して一斉に新しいデザインのサリーを発表する。
新作サリーの目玉商品は「フォト・サリー」とよばれ、サリー店の広告に大々的に使われる。もちろん庶民にとって安い買い物ではないが、かといって目の玉が飛び出るほどの値段でもない。
そして、賢い消費者は、シーズンの狂騒がしずまったあとで行われるバーゲンセールまで待つのである。
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