旅・いろいろ地球人
よそ者?
- (2)カボチャナス外国人 2013年10月24日刊行
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三島禎子(国立民族学博物館准教授)
ジャハトゥ(手前右側)入りの魚と野菜の炊き込みご飯=セネガルにて、筆者撮影セネガルで過ごした留学時代、私は学生寮で暮らしていた。そこは庶民街の真っただ中だったので、いや応もなく人々の関心の的になった。
私のあだ名は「トゥバブ・ジャハトゥ」。通りを歩くと、子どもたちがいっせいに私を呼ぶ。トゥバブというのは本来は白人を指す現地語だが、黄色人種もトゥバブの範疇(はんちゅう)に入る。続くジャハトゥは、カボチャの形をしたトマト大の白色のナス科の野菜である。なぜそんな呼び名がついたのか私には見当がつかなかったが、どうやらジャハトゥのように生白く、ひしゃげて小さいところからの連想らしい。
朝、大学へ行くときは、私が歩く姿と速さが滑稽(こっけい)らしく、子どもたちが大勢でトゥバブ・ジャハトゥと囃(はや)し立てながら私の後ろに続く。私が立ち止ると、かれらも止まる。私が速足になると追いかけるようについてくる。こんな生活が日常だった。
アジア人が呼びかけられるときは「シノワ」が定番である。この単語が、フランス語で中国人の男性を意味するのが、私には不満だった。私はささやかな反抗心を出して、「ジャポネーズ」(日本人女性)と答えるのが常だった。
それにしても「カボチャナス外国人」とは、なんと親しみのこもった呼び名だっただろうと懐かしく思い出す。
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