国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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ミュージアム

(3)知の空間  2015年7月23日刊行
野林厚志(国立民族学博物館教授)

深緑の中の人類学博物館=6月19日、筆者撮影

台湾は1895年から50年間、日本の施政下にあった。統治政府は植民地における高等教育機関として、1928年に7番目の帝大として、台北帝国大学を設立した。その後、中華民国施政下では国立台湾大学と名称を変更し、今もなお台湾の最高学府として、優れた人材を輩出している。

帝国大学時代から現在にいたるまでの研究資料を大切に保管し、積み重ねられてきた学術研究の成果を広く一般に公開しているのが、「台大博物館群」とよばれている大学博物館である。10の博物館に加えてオンライン博物館も登場しているのがいかにも現代の博物館事情を物語っている。

筆者が度々訪れる人類学博物館は29年に開設した土俗・人種学講座の陳列室にその歴史を遡(さかのぼ)ることができる。2010年にリニューアルした展示場には、日本統治時代から使われてきた陳列ケースがあり、歴史の重みを感じさせてくれる。

この大学博物館群の中心となるのが、大学の歴史を展示した校史館である。台北帝大、台湾大学の研究の軌跡がわけへだてなく紹介された展示場は、1929年に着工した大学図書館の中央閲覧室であった場所である。学生や教員が思索した知の空間は今も訪れるものを知の世界へ誘っている。

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