旅・いろいろ地球人
手仕事の今
- (4)つくる行為に意味がある 2016年7月28日刊行
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上羽陽子(国立民族学博物館准教授)
インド刺繍を題材としたものづくりワークショップ。腕自慢の女性たちが道具を持参して取り組む=2014年、筆者撮影「次はインドの刺繍を習いたくて」。彼女の手元には、色とりどりの刺繍糸や手芸用品が並べられている。刺繍が好きで、手芸店に通うのが趣味。高価な材料や道具を使ってつくったものは、知り合いに贈る。講習会があれば、どんな遠くでも赴く。私がものづくり系のワークショップを開催すると、このような参加者をちらほらみる。
現在の手芸ブームを支えているのは、彼女たちのような存在だろう。各地で乱立する手芸関連イベント。さらに、近年流行っているプロアマ問わず、手芸品を売買できるインターネットサイト。これらのイベントやサイトでは、手間暇かけてつくられたものが、驚くほどの安価で販売されることがある。材料費が捻出できればそれでいい、といった価格だ。自家消費でもなく、現金化が目的でもない、そんな手仕事が存在する。
手芸は、手先の技巧であるがために、間近で観察をすれば、真似をしながら習得が可能である。染めや複雑な織りではこうはいかない。教授が簡単ということは、つくることをきっかけとしたネットワークづくりも容易である。また、手先を動かすことは、集中力を高め、精神安定剤の役割があるだろう。
手芸には、つくるといった行為自体に大きな意味があるのかもしれない。
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