国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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アンデス開運グッズ

(1)黄色い下着  2019年3月2日刊行

八木百合子(国立民族学博物館助教)


露店に並ぶ黄色い下着=ペルーで2018年、筆者撮影

新年に縁起を担ぐ慣習は世界各地にみられるものである。南米ペルーでも、年の瀬になると、新年を祝うさまざまな商品が市場に並ぶ。

店頭に置かれた品物のなかでひときわ目に付くのが、鮮やかな黄色の下着である。うず高く積まれた黄色いかたまりのなかには、子ども用の小さなものから超特大まで幅広いサイズが取りそろえられている。店先ではこの時とばかりに黄色い下着のまとめ買いがなされる。いつから始まったのか定かではないが、この光景は今では年末の風物詩になっている。

この国では正月は黄色い下着をはくのが習わしなのである。黄色い下着を身に着けて新年を迎えることで運気が増し、幸運に恵まれると信じられている。どこの家でも、たんすを開ければ必ず黄色い下着が入っているとまで言われるほど、誰もが一度は身に付けるものである。

とはいえ、なぜ黄色なのだろうか。これは、黄色が幸運を象徴するだけでなく、エネルギーの源である太陽の色だと考えられているからでもあるという。日本では子どもが絵に描くお日様は赤色をしていることが多いが、ペルーで太陽といえば黄色で塗られるのが常である。エネルギーを象徴する黄色いものを直接身に付けることで活力を得るという発想から、下着が好まれているようだ。

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