国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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(5)ミニチュア雑貨  2019年3月30日刊行

八木百合子(国立民族学博物館助教)


市で売られるミニチュアの数々=ボリビアで2006年、筆者撮影

ボリビアの主要都市ラパスでは毎年1月中旬になると、ミニチュアの雑貨を集めた市が立つ。米や砂糖などの食料品や日用雑貨のほかにも、車、家、スーツケースやお金など、どれも本物そっくりに作られている。市では、自分が実際に手に入れたいと思うもののミニチュアを購入するのである。

アラシータの名で知られるこの縁日は、福をもたらす神として有名なエケコにゆかりがあり、近年はエケコ人形に飾るものを買う場として発展している。訪れた人は、ミニチュアを購入すると、それを持ってそのままラパスの大聖堂へ向かう。そこでミニチュアに聖水をかけて祝福してもらった後、自宅に持って帰るのだ。そうすることで、願いがかなうといわれている。

この市で人びとが買い求めるのは、物質的な豊かさを願うものばかりでない。大学の卒業証書、弁護士や医師など各種資格の証明書、婚姻や離婚の証書類など、夢をかなえようとする人も多い。

最近では、ノートパソコン、スマートフォン、電子レンジ、ドルやユーロといった外貨に加えて、クレジットカードや米国ビザなどを取りそろえている店もある。市場経済化やグローバル化が進むなかで、人びとが求める幸せのかたちも変化しつつある。

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