国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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世界をめぐる楽器

(2)木琴の起源  2019年4月13日刊行

福岡正太(国立民族学博物館准教授)


西ジャワの木琴ガンバン=インドネシア・バンドンで1995年、筆者撮影

木琴というとオーケストラなどで使われるマリンバを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。ピアノの鍵盤と同様に音板がならび、それぞれの音板の下には金属の筒状の共鳴器がとりつけられている。マリンバは、1910年にアメリカ合衆国で製造が始まり、ポピュラー音楽のバンドで使われるようになって、世界で広く知られるようになった。オーケストラの中で確固たる地位を占めるのは、40年代以降のことである。

現在一般的に普及しているマリンバのモデルとなったのは、ラテン・アメリカのマリンバである。とくにグアテマラでは、1821年の独立以来、国民的楽器として愛されてきた。そして、ラテン・アメリカのマリンバの源をたどるとアフリカに行きつく。「マリンバ」という名称も、アフリカの言葉に由来すると考えられている。

さらに、アフリカの木琴は東南アジアに由来するという説がある。東南アジアで現在よく見られるのは、舟形の共鳴胴の上に音板を並べた木琴で、マリンバとは少し異なるタイプだ。歌舞伎などに用いられる日本の木琴も、よく似た形をしている。この説に反対する研究者もいて、真偽のほどは確かではないが、木琴のたどった道が世界中に及んでいるのはまちがいない。

彼は日本にも3点の楽器を寄贈し、それらは現在東京国立博物館に所蔵されている。また、同じタゴール家の血筋で、日本でインド文化の普及に尽くしてきたサンディップ・タゴール氏が所蔵していた楽器が、3年前国立民族学博物館に譲られた。それらの貴重な楽器の一部が、5月7日まで国立民族学博物館で展示されている。

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