旅・いろいろ地球人
休暇とバカンス
- (3)米国NPO「休日協会」 2009年6月17日刊行
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出口正之(文化資源研究センター教授)
アフリカのステップもアートにオバマ大統領就任後初めての独立記念日が近づいてきた。その発言も注目されるところだ。そもそも祝祭日は、支配者の文化に色濃く覆われ、その文化に則(のっと)った儀式を伴うことが多い。コロンブスが米国を発見した日も、おめでたいのかどうかは人によっては異なる。
カレンガという青年は、祝日の中に秘めるこうした文化性に着目し、アフリカ系アメリカ人自身が自らを祝う日、「クワンザ」を提唱した。クリスマス・シーズン後で商品が安くなる、12月26日から1月1日までの期間である。
協会の創設者ケンディさんは、「クワンザ」に合わせてアフリカ系関係の民芸品を販売した。時に1982年のこと。この小さなイベントはその後、「アフリカ 系アメリカ人休日エキスポ」という大行事となっている。このイベントから誕生したNPOが「アフリカ系休日協会」で、その他にも新しい祝祭日を提案し続けている。例えば、バレンタイン・デーに代わる2月13日の「ブラック・ラブ・デー」もその一つ。アフリカ系米国人としてのアイデンティティーを取り戻すための活動であり、「クワンザ音楽」なども生まれた。
大統領が「クワンザ」にどのようなメッセージを発するのか、今から興味深い。シリーズの他のコラムを読む
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