みんぱくのオタカラ
- 樹皮布 2009年3月11日刊行
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小林繁樹
樹皮布は樹皮の内皮を叩き延ばして作った不織布である。オセアニアのほか、アフリカ、東南アジア、中・南アメリカ各地域の、おおよそ赤道周辺部で製作されている。オセアニアの樹皮布は一般に東ポリネシア地域に共通する言葉でタパとよぶが、本資料はフィジー諸島産で、マシという。材料としておもにカジノキの内皮を使う。和紙によく似ていて、丈夫である。作り方は内皮をはぎ取り、叩き棒で叩いて広げ、貼り合わせるなどして布とする。巾10センチメートルほどの内皮は、叩かれて40センチメートルほどにも広がる。本資料は長さ120センチメートル、巾62センチメートルほどの大きさであるが、大きいものとなると、例えばトンガには長さ22~23メートル、巾4メートルほどのタパもあり、カジノキを300~400本も使う。フィジーの樹皮布はその繊細な仕上げと紋様の美しさで有名である。特別展「千家十職×みんぱく」では2階の「叩く」というコーナーで展示している。
小林繁樹(文化資源研究センター)
◆今月の「オタカラ」
標本番号:H0130447 / 標本名:樹皮布
※特別展「千家十職×みんぱく:茶の湯のものづくりと世界のわざ」にて公開◆関連ページ
特別展「千家十職×みんぱく:茶の湯のものづくりと世界のわざ」
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