国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

地域テーマ展示「中国地域の文化:中国雲南の絞り藍染め─大理ぺー族の村から」

中国・雲南省の大理盆地に絞り藍染めの盛んな村-周城(しゅうじょう)-があります。そこに住む人々は、ぺー(白)族と呼ばれる中国の少数民族です。村の女性たちは毎日、糸と針を手に布地を絞る作業に追われています。現在、村の絞り藍染め工場が生産する製品の9割以上は日本に輸出されています。昨年2月 から11月まで、この海抜2000メートルの村で展開してきた絞り藍染めを、その技法、歴史、人々の生活とのつながりとともにコレクション展示でご紹介しました。この4月からは新しい展示内容を加えて、本館展示場で始まる地域テーマ展示の一つとしてご覧いただきます。
展示担当/横山廣子

嫁入りに持参した絞り藍染め
周城に住む董根運さんは80年代半ば、同じ村内の嫁入り先に持参するため、婚礼前に糸絞りに精を出しました。根運さんが糸絞りをほどこし、実父が染め上げたのは、頭飾り用の40センチ四方の布が20枚余り、その上に重ねて頭飾りにするタオル地の絞りが3枚、枕カバーが2枚、新婚夫婦の寝室の入り口の間仕切りが1枚、シーツが2枚、赤ん坊を包んだり、家具の覆いにも使える方巾が大小各1枚です。
今回はそのうち、本館が所蔵する5点が展示されます。


既婚者用頭飾り(2点)
使用例
既婚者用頭飾り使用例

既婚者用頭飾り使用例
写真拡大既婚者用頭飾り
↑鮮やかな色柄のタオルに絞り染めをほどこしているので、染め抜
かれた部分のタオル地の赤や黄色の色が華やかさを増している。


枕カバー

シーツ
使用例
シーツ使用例

赤ん坊を包むのに使用した四角い布
使用例
方布使用例
新婚夫婦の部屋の入り口に下げる間仕切り